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【GDMBR】Tour Divideの装備から学ぶ

どのような装備でGDMBRを走るかというのは、GDMBRの準備する上で1つの悩みどころです。

 

以前、私の装備を紹介しましたが、サンプル数が1では十分な情報とは言えないかもしれません。そこで、他のライダーの装備についても幅広く知りたいという人もいるでしょう。


BIKEPACKING.comの記事「RIGS OF THE 2024 TOUR DIVIDE STATS ANALYSIS」では、GDMBRと同じルートを走るバイクレース、TOUR DIVIDEのライダーの装備が紹介されていました。元記事を見れば事実の把握はできるのですが、ここでは私が実際に走った経験を踏まえた解説を記載します。

 


 

【自転車の種類】

BIKE TYPE

HT(=HARD TAIL,前輪サスあり、後輪サスなし)52%と、Rigid(前後輪サスなし)が42%で大部分を占めています。マウンテン区間を高速に走りたい人はHTを選択し、グラベル区間に重きを置いている人はRigidを選択しているのでしょう。
レースではないGDMBRを走る上ではRigidで十分です。

 

FRAME MATERIAL

フレームの素材は53%がカーボンを選択しています。これはレースシーンでは軽量な素材が好まれることと、SALSA社のCUTTHROAT(カーボン)がサポートされているのでこのような結果になっています。装備が重いため軽く転倒しただけでカーボンフレームが割れることがあるので、普段からオフロードバイクパッキングに慣れていない人は金属フレームを選ぶのが無難でしょう。

 

BAR TYPE

フラットバーが54%、ドロップバーが46%で拮抗しています。マウンテン区間を重視するならフラットバー、グラベル区間を重視するならドロップバーが選ばれる傾向にあります。ドロップハンドルで荷物を積んだ自転車でマウンテン区間を走行するのは大変で、バイクコントロールやブレーキ操作が非常に難しくなります。10年以上トレーニングしている私も1日走り終えると腕がパンパンになるほどです。マウンテン区間を安全に走るという観点からは、フラットバーをお勧めします。

 

BIKE BRANDS

MOST POPULAR BIKES

どちらの数値もSALSAがレースをサポートしているので参考になりませんが、どの車種が使われているか参考になります。

 


 

【ドライブトレイン】

WIRESS VS. MECHANICAL

変速方式は31%がワイヤレス、69%が機械式となり、アメリカのMTB界ではワイヤレスを推進するSRAMが圧倒的に市民権を得ているにも関わらず機械式優位となりました。
これは自分で整備できる前提で、補修がしやすい機械式が好まれているためです。また、街での充電時間やハブダイナモからの充電を削減できることも理由として考えられます。メカニックを帯同し毎日充電し整備してもらえる通常のレースだったら変速性能が良いワイヤレスが優位となると思いますが、セルフサポートレースのTOUR DIVIDEならではの結果です。


DRIVETRAIN BRANDS

SHIMANOが28%、SRAMが61%となりSRAM優位です。最近はMTBだけでなく高級車用コンポもSRAMに押されています。日本人としてはSHIMANOに頑張って欲しいですが、今回GDMBRでSRAMを使ってみるとその直感的な操作性に一気にSRAMの虜になりました。
変速性能はSHIMANO > SRAMなのでしょうが、私は違いを体感できる域に達しておらず、操作性の良さからくる恩恵の方が大きいと感じました。

 

SINGLESPEED RATIO

TOUR DIVIDEにはシングルスピード部門というのがありますが、(頭がおかしすぎて)コメントできません。

DRIVETRAINS

現在SRAMSHIMANOMTB用ドライブトレインの主力製品である1x12が多数を占めています。12速用チェーンは耐久性が低いためTOUR DIVIDEでもGDMBRでも走り切るには1度チェーン交換が必要というデメリットはありますが、最適なギア比を選択できるメリットが大きく上回っての結果です。

 

CHAINRING SIZE

フロントチェーンリングのサイズは32、34、36を中心に分布しています。どのチェーンリングにするか選択するためにはクランク長、リアカセット、タイヤ周長によるギア比とそれを駆動する脚力を加味する必要があります。多くの人がレーサーと比較して脚力が足りず装備も重いはずなので1段軽い30、32、34がメインの選択肢になると思います。


 

【タイヤとタイヤサイズ】

TIRE WIDTH
ホイールサイズはグラフには示されていないですが、本文には29インチが91%、27.5インチが9%という結果となっており、速度を求めるレースシーンでは当然の結果です。その上で、タイヤ幅は2.2−2.25インチを使用するライダーが最も多いです。マウンテン区間の走破性とグラベル区間のスピードのバランスが最も取れたタイヤ幅だと思います。リジッドフレーム(前後輪サスなし)だとしてもこのタイヤ幅で適切な快適性を得られているのは、レーサーは体も装備もかなり絞っていることが理由の一つだと考えられます。体や装備が絞れていない場合や、スピードではなく快適性やオフロードでの安定性をさらに高めたいのであれば、タイヤ幅の選択肢を2.2−2.25インチから1サイズ上げてみると良いです。

 

TIRE BRANDS/TYPES
タイヤの銘柄はVittoria Mezcalが最多票を得ています。私もMezcalを利用し、過去記事では「GDMBRで使ったベストパーツを挙げるとしたら間違いなくこのタイヤ」とレビューしています。TOUR DIVIDEでもGDMBRでも走る道は同じなので、このタイヤを買っておけば間違い無いという裏付けになります。

 


 

【バッグと荷物】

AERO BARS

86%がエアロバーを装着しています。舗装路や綺麗なグラベルでのエアロダイナミクス向上や、上半身を休憩させられるポジションが取れるためです。ドロップハンドルであってもフロントバッグを取り付けるとハンドルポジションが少なくなるので、エアロバーを装着することでポジションを増やしたくなります。私はエアロバーを装着しなかったですが、次回は装着したいアイテムの一つです。

 

RACK VS. SEAT PACK

シートパックが52%、ラックが47%で半々に割れています。レースシーンでは軽量なシートパックが多く使われると思いましたが、意外とそうではありませんでした。ハードテイルバイクのライダーはフロントフォークに荷物を取り付けないため、リアの荷物が大型化する傾向があります。特にオフロードコースを走る際、大型のシートパックは揺れが増し、ライドフィールに悪影響を及ぼす可能性があるため、ラックを選択しているのだと思います。

 

CARGO ON FORK 

フロントフォークへの荷物の取り付けは50:50で別れています。ハードテイルのバイクに乗っていたとしても、フロントフォークの荷物を減らすのは私には難しいです。

 

RACK BRANDS

Tailfinの製品が大多数を占めています。シートパックと従来のラックの中間のような製品で軽量でありながらフレームに固定されているため、揺れの影響も最小限に抑えられます。GDMBR上のバイクショップで実物を見ましたが、質感が非常に良く、ぜひ導入したい製品です。TOUR DIVIDEで支持されているのも納得です。

 

SEAT PACK BRANDS

Revelate Designsの製品が大多数を占めています。私はトップチューブバッグはApidura、フロントバッグとサドルバッグはTopeakを使用していましたが、Revelate Designsの製品も品質が良いと感じました。店舗で見たRevelate DesignsのトップチューブバッグはApiduraから買い替えようと思うくらい使いやすいデザインでした。

 


 

【ペダル、シートポスト、ダイナモハブ】

SEAT POST TYPES

Rigidが72%、DropperとSuspensionが14%ずつとなっています。激しいダウンヒルコースでは無いので、軽量なリジッドシートポストで充分という判断でしょう。速度域がさらに低いGDMBRの場合はよりドロッパーシートポストやサスペンションシートポストのメリットが下がり、リジッドシートポストが優位となります。

 

DYNAMO HUBS

68%がダイナモハブを利用しています。レーサーは休憩や睡眠を削って走るためライトとナビゲーションに使う電力量が多いにも関わらず街でゆっくり充電する時間もありません。一方で、凄まじい脚力によりどんなマウンテン区間でも発電してくれるためダイナモハブの利用が理にかなっています。私も街での充電から解放されたいという思いからハブダイナモを導入しましたが、結果としては脚力不足で満足に充電できない区間もありました。脚力だけでなくダイナモ用USB充電器の性能差も大きいようです。現在利用中のK LITEのUSB充電器から、より高効率と言われるIgaroのUSB充電器に変得て比較してから最終的な判断をしたいと思いますが、現在のところダイナモハブの利用は失敗だったと言わざるを得ません。

PEDAL TYPE

Clippless(=両面ビンディング)が73%、Flatsが16%、Mix(=片面ビンディング、片面フラット)が11%という結果となっています。引き足が使えないフラットペダルのシェアが16%もあることは驚きです。とはいえオフロードに慣れていない場合は足付きの良いフラットペダルは安全性を高め、ペダリング面でも長い滑り止めピンを使えば足の滑りも抑えられて安定したペダリングができるので有用な選択肢です。

 

NAVIGATION DEVICE

一般的にGarminとWahooが人気ですが、Tour DivideにおいてはGarminの方が人気があるようです。特にGarmin Edge 1040はソーラー充電に対応しているモデルがあり、晴天が多い夏のアメリカ中部ではランタイムを長く取れる長いことが魅力になります。2024年発売のGarmin Edge1050とWahoo Element Aceもソーラーには対応しておらず、来年以降の選択が気になるところです。

 


 

【まとめ】

GDMBRを走り切ることを目的にするのであれば、Tour Divideの装備例は参考になると思います。一方で、自分が楽しめるかどうか(見た目がかっこいい、思い入れがある等)で装備を選ぶことも間違いではないことも忘れないでください。